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欅の伐採 [木の話]

とある工場の一角にそびえる欅です。
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この場所に工場が移転してきたときから会社とともに成長した樹ですが、
施設の増設にともなって、伐採されることになりました。

「思い入れのある欅なので、なにかに活用したい。」とのご希望です。
樹に傷をつけないように、伐採しなければいけません。
都合よく、隣は広場です。
そちらへ切り倒せばよいのですが、枝ぶりをみると、樹は違う方向へ倒れたいみたい・・・
ワイヤーで引っ張って、倒れる向きを誘導しながらの伐採になりました。
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普段は、足元の悪い斜面で、立て込んだ樹を相手にしている山師にとって、
こんな広々とした平地での作業は朝飯前!ですが、やはり危険な作業です。
ここは慎重に・・・チェーンソーで切込みを入れます。
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楔を打ち込んで、間違いなく広場へ向かって切り倒します。
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会社の繁栄を見守ってきた欅ですから、余すところ無く、活用します。
「幹」は乾燥させて、会社の記念になるものに変身予定。
まだ樹齢が若く、低いところから枝分かれしていたので、大きなものは難しいかなぁ・・・
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「枝」も乾燥させて、薪ストーブへ。
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「葉」は、腐葉土になります。
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精一杯大きくなった樹に、感謝。




欅(けやき):
ニレ科ケヤキ属の落葉高木。
学名 Zelkova serrata。
別名ツキ(槻)。

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樫の木の製材 [木の話]

もうすぐ、八百津祭りです。
今年は4月10日と11日です。
氏神様にのぼりが立ち、だんだん気分が盛り上がってきます。
28日には、だんじりを組んで試曳きをしました。
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この神明神社を拠点とする「芦渡組」のだんじりは、4つの自治会で運行役を持ち回ります。
4年に1回の役、うちの自治会は昨年でした。今年は気軽に参加できます。

ということで、だんじりが組みあがるのを待つ間、「てこ」になる樫の木(→こちら)を製材しました。
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丸太のままで、まだまだ水っぽい生材ですが、堅い・・・。
杉や桧の針葉樹なら、駆け足くらいの速さで台車を動かして、ジャーっと製材できますが、
この樫の木は、ゆっくりゆっくり動かさないと、鋸歯が押されてしまって、
まっすぐに製材できません。
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広葉樹は、針葉樹よりも反りやねじれが大きくでます。
「てこ」の太さ、5㌢角まで製材すると、切り口からグニューっと反り始めます。
6時間かけて、100本ほどの「てこ」材を製材しました。
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曲がってしまっては「てこ」にならないので、この後、曲がらないように
4本ずつバンセンで締め上げました。
まっすぐな状態で何年もかけて乾燥させます。
4年毎、役に当たった年に8本ずつ削り直して新調します。
ずいぶん先までの在庫ができました。
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高野槙を製材しました [木の話]

とても爽やかな香りがします。
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桧よりも白くて、ちょっと硬い感じです。
木目がはっきりとわかりますが、松ほどギトギトしていません。
香りに特徴があります。“スー”っとする感じ。でも、ミントのようなあからさまな爽快感でもないです。
上品な感じですよ。

高野槙は、木曽五木の一つで、水に強く、昔から舟や風呂桶の材料に使われています。
平成18年(2006年)9月12日に、秋篠宮家の悠仁親王のお印とされて一躍有名になった木です。
(ちなみに木曽五木とは、桧・高野槙・あすなろ・ねずこ・さわらの五種類の常緑針葉樹林。)
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高野槙の風呂桶は、最上級品といわれます。
長良川の鵜飼船も、高野槙でできています。

これは高野槙の若木。
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樹の皮は杉や桧とよく似ているのに、葉が松のように針状なので、山で見るとすぐにわかります。

杉や桧にように植林して育てる樹種ではないので、材木屋が取り扱うことは少ないのですが・・・
うちは、木曽川河畔の材木屋です。
先代が“川舟の材料になるから”といって、高野槙の山を大切にしていました。
そんなわけで、めずらしい高野槙の在庫がたっぷりあります。
よく乾燥した板、厚板、現在は丸太もありますよ。

水に強くて、香りもよくて、
台所や洗面など、水周りのカウンターにおすすめです。


コウヤマキ:
マツ目コウヤマキ科の常緑針葉樹。
学名 Sciadopitys verticillata。
別名ホンマキ。


榧(かや) [木の話]

先日、山で見たのはたぶん・・・榧(かや)・・・だと思うけど・・・
こちらは、正真正銘、榧(かや)の木です。
八百津のお隣、御嵩町にある樹です。
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樹齢は不明です。
御嵩町の指定名木になっています。
さすが、風格があります。
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榧材は、昔から、囲碁・将棋の盤材の最高級品とされています。
耐久性や弾力性に富んでいるので、碁石を打った後のへこみが復元力により元に戻ります。
使い込んでいくと、渋みのある飴色に変わります。

囲碁、将棋の盤材には樹齢250年以上必要ですが、日本国内の榧はすでに絶滅状態だそうで、
碁盤、将棋盤を作る榧材はますます貴重な存在になっています。

この指定名木は、とても貴重な存在なんですね。

巨樹 [木の話]

名阪国道から吉野山へ行く途中、ふと看板に惹かれて脇道へそれると・・・
ケヤキの巨樹です。
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幹周り7m。樹齢は不明。
奈良県宇陀市の“片岡家住宅(重要文化財)”の一角にそびえています。
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家の守り神のようです。
石垣からニョキリと生えているようですが、もちろん樹のほうが先でしょう。
片岡家住宅は、寛文10年(1670)築の入母屋造り茅葺きの建物です。
江戸時代を通じて代々大庄屋を勤めてきた家柄で、現在もご当主が生活していらっしゃるそうです。
とても美しい威容です。茅が葺き替えられたばかりで、きれいに整備されていました。
この樹と建物に惹き寄せられたのか・・・と。

そして、吉野山。
こちらが金峯山寺蔵王堂、国宝です。世界遺産です。
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重層入母屋造り、桧皮葺き、高さ34メートル、四方36メートル。
修験道の総本山らしく荘厳で、でも威圧感はなく、優美です。
吉野山の紅葉は盛りを過ぎたところのようでしたが、結構な人出でした。
21日には、世界平和祈りの大護摩供が行われて、山伏姿の人たちが沢山いたそうです。

吉野山は、やっぱり桜の樹がいっぱい。
杉の植林山もいっぱい。
とにかく杉が真っ直ぐで、道々見える山はどこもきれいでした。
人出を思うとかなり億劫ですが、春の姿も見なくては・・・。


重要文化財 片岡家住宅
奈良県宇陀市大宇陀区田原938

国宝 金峯山寺蔵王堂
金峯山修験本宗総本山 金峯山寺 
奈良県吉野郡吉野町吉野山

むべなるかな [木の話]

11月7日、8日の2日間は、八百津町の産業祭でした。
年に数回の、八百津の街がとてもにぎわう日です。
特に7日の土曜日は、産業祭の駐車場から街の入り口まで車がズラーっと並んで、
ごった返していました。

そんな喧騒から少し離れて、8日に大仙寺で開催された、八百津町文化協会主催の
“第30回 八百津紅葉茶会”に出かけました。
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泰庵(→こちら)の広間が裏千家の薄茶席、講堂が表千家の野点席でした。

屋内の講堂で野点・・・これはっ!非常に野趣に富んだ生け花がしつらえてありました。
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所々に赤紫の実がついています。

“あらっ、アケビ。”と思わず言ってしまいましたが、
これは “ムベ” だそうです。
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アケビは熟してくると果実がパックリと割れますが、ムベは割れずにそのままで、クシャクシャになってしまうとか。
ひとつもいで頂いてしまいました。
割ってみると中もアケビにそっくり。
半透明の粘りのあるゼリー状の果肉と種が詰まっていて、とろ~っと、ほんのり甘くアケビよりも素朴な味でした。

この “ムベ” 長寿を祝う贈り物に最適の果実だそうです。

昔、天智天皇が近江八幡へ行幸されたとき、老夫婦に長寿の秘訣を尋ねたところ、
秋に取れる珍しい果物が無病長寿の霊果であり、毎年秋にこれを食すると答えたそうです。
そこで、実際に賞味した天智天皇が「むべなるかな(いかにももっともなことであるなあ)」
と云われたことから、“ムベ”の名になったとか。

そのとき天智天皇が、「斯くの如き霊果は例年貢進せよ」と命じられ、
近江八幡市は、今でも皇室に“ムベ”を献上しているそうです。

それから、蔓(つる)の長さが十五メートルにもなる常緑性低木で、
幼木のときは葉が3枚、その後5枚、実が成る頃には7枚になるので、
「七五三の縁起木」ともいわれているとのこと。

おぉ~まさに、旬ですね。



ムベ:
アケビ科ムベ属の常緑つる性木本植物。
学名 Stauntonia hexaphylla 。
別名、トキワアケビ(常磐通草)。

樫の木の伐採 [木の話]

樫の木(かしのき)です。字のごとく、とても堅い木です。
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樫の木は、八百津祭りの“だんじり”の制御部の材料になります。
4㌧を越す“だんじり”ですが、ブレーキもアクセルもハンドルもありません。
木製の車輪が4つがあるだけです。
車輪の動きを樫の木でできた、“てこ”と前後に長く伸びる4本の“押し木”で制御します。
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“だんじり”が道を曲がるとき、写真右端の人達が曲がる方向へタイミングをみて“押し木”を押します。
車輪には転回機構が無いので横すべりします。
このとき左側で中腰になっている人が車輪の下に“てこ”をかませ、すべりの向きを誘導します。
“てこ”と“押し木”が絶妙に作用することで、“だんじり”がクルッと曲がります。

大事な大事な樫の木、常によく乾燥した良材を確保していなければいけません。
春のお祭りで手持ちの材が減り、秋、木の伐り旬がやってきました。
何年か先のお祭りのために、自治会の皆さんとともに樫の木を伐採しました。
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今回の木は“てこ”の材料になります。
“てこ”の長さは154㌢。
樫の木は、欠けたり割れたりしやすいので、ちょっと余裕をもって180㌢に玉切りしました。
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乾燥すると石のようにカッチカチになってしまいます。
堅くなる前、まだ水っぽいうちに製材します。

森と木とのふれあいフェア2009 [木の話]

「森と木とのふれあいフェア2009」に行ってきました。
毎年、岐阜県庁前芝生広場で、農業フェアと同時開催されます。ものすごい人出です。
初日、土曜日は年配の方が、日曜日は子連れの家族が多いそうです。

会場案内には、 “親子木工教室やクラフト教室、木製ベンチ・テーブル・プランター展示販売、キノコ試食販売、木っ端市、キットハウスやペレットストーブの展示販売などブース展示をはじめ、木製迷路、ウッドチップ広場全国豊かな海づくり大会スタンプラリー、高性能林業機械の展示など” とありますが、出かけていったのは日曜日の午後。
目ぼしいブースはすでに終了・・・販売されている物も残りわずか・・・でした。

そんな中、会場に着くと、うちの子供達は“ウッドチップ広場”めがけて一目散。
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大喜びで、鉋屑やウッドチップと戯れていました。
材木屋の子供でもとっても楽しそうなんだから、他の子達はそれ以上なんでしょう。
もっともっと木と戯れて下さい。
このウッドチップはお持ち帰りできるそうで、袋いっぱいに詰め込んでいる人がたくさんいました。
うちの子も・・・ポケットに詰めてた・・・処分に困るほどうちにあるのに・・・。

こちらは、“チェーンソーアート イビ”のお二人。
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うちの“くまちゃん”(→こちら)の兄弟が生まれようとしているところです。
チェーンソーアート・・・いつか・・・やってみたい。

「森と木とのふれあいフェア」は、もの凄く集客力のあるイベントですが、
よくよく見てみると、会場に並んでいる物の多くは、いわゆる“廃棄物”でした。

木っ端やウッドチップは、木から必要な部材を取った残り。
それを使った、木工教室やクラフト教室。
木製ベンチ・テーブル・プランターも、大きな木っ端が材料になります。
“廃棄物”がただのゴミにならず、魅力的なのが木のいいところです。

形あるうちは様々なものに利用され、朽ちて形がなくなれば次代の植物の糧になる。
「ゴミ削減」、「CO2削減」が言われるいま、
その削減効果が大きく見込まれる“樹”や“木”がもっともっと評価されるべきです。

ただ・・・人間の都合に合わせて過剰に手を加えるのはちょっと・・・・
ウレタンで表面を固めたり、ボンドを使って積層や集成したり、化石燃料を燃やして高温で乾燥させたり・・・やっかいなゴミになりかねませんね。

“木”と“人”が自然に寄り添うのがいいです。

寄進札の掲示板 [木の話]

八百津の大仙寺に、寄進札をかける掲示板をつくりました。
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大仙寺は、
剣豪・宮本武蔵が修行したといわれる、1461年に開創された臨済宗妙心寺派の古刹です。
巌流島で佐々木小次郎を打ち倒した武蔵は、新たな剣の極意を求めて京都大徳寺の沢庵和尚のもとで禅の修業に励んでいました。
沢庵和尚に「禅の道は愚堂に学べ」と勧められ、愚堂国師(ぐどうこくし)が八世住職を勤める大仙寺で修行したといわれています。二の門にある石の上で座禅を組み、近くの五宝滝で厳しい剣術の修業を積んだと言い伝えられ、その座禅石が今も残っています。
ちなみに・・・大仙寺には茶室“泰庵”があります。→こちら
今回、寄進を募って、庫裏の大屋根の改修と住居の整備が行われることになりました。

この掲示板、20年程前に使われていたものを再利用しています。
何年間か風雨に耐え、境内に立っていた掲示板がきれいに解体され残っていました。
一部、転用されて短くなっていたり、無くなっていたりしましたが・・・
不足分を補い、鉋をかければ再利用だなんて全くわかりません。
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木は素晴しい!

火天の城 [木の話]

映画館で「火天の城」を観てきました。
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信長に命を受け、熱田の宮大工・岡部又右衛門が安土城築城に挑む物語です。
第11回松本清張賞にも選ばれた山本兼一の同名小説が原作となっています。

5層7階建ての安土城を支える親柱(大黒柱)、
必要な太さはなんと2尺5寸(75cm)。
そんな親柱になる檜の巨木を、木曽の山から切り出しての城普請です。
原作には、八百津の錦織の綱場がでてきます。

さてさて、映画ですが、
まずオープニング、平面の図面が立体化していくのにワクワクしました。
これから普請が始まる・・・なんだか血が騒ぐ・・・という感じです。

又右衛門が木曽で檜を探し求める姿にも、とても感情移入してしまいました。
(参考まで、→こちら
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樹と向き合うのは、何か・・・神々しい感じがします。
檜の巨木は、台湾でのロケだったそうですが、
さすがに樹齢2000年の御神木の大きさに圧倒されます。

大勢の人が人力で城を築き上げていきます。
ジーっと観入ってしまうのは、木を刻むところ、大黒柱を建てるところ、石を運ぶところ。
「作事は木を組むのではなく、人の心を組むのだ」と、又右衛門の言葉が印象的でした。

原作が2時間にギューっと圧縮されていて、
残念ながら、川を使って木を運び出すシーンが無く・・・
錦織の綱場も出てきませんでしたが、
すごく心に染み入る映画でした。
家一軒建てるのもかくあるものです。
棟梁の思い、職人の思い、そしてお施主様の思い・・・すばらしい。

映画館で観て、その後原作も、お勧めします。

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